「うれしい」を和英辞典引くと、たいていglad・happyが出てきます。どうして、日本語の「うれしい」1つに対して、英語には2つの単語があるのでしょうか。日本語で「うれしい」と言う状況は、英語ではgladとhappyに分かれるからです。この記事では、日本語の「うれしい」を基に、gladとhappyの使い分けをご紹介します。
日本語で「うれしい」を使う時は?
まずは、日本語の「うれしい」を使う場面を考えます。
日本語で、どんな時に「うれしい」と言いますか。
『気持ちをあらわす「基礎日本語辞典」』には、うれしいを使った例文が3つに分類されています。
(1) 「父の病気が治ってうれしい」「遠足の日がいいお天気でうれしい」…うれしさを起こす原因
(2) 「あなたのご親切が身にしみてうれしい」「心のこもった贈り物、うれしく頂戴いたします」…うれしさを起こさせる主体
(3) 「うれしい便り」「うれしい知らせ」「そんな見え透いたお世辞、ちっともうれしくない」…うれしく思う対象
「うれしい」で文面に出す原因・内容は、感じ手であるこちらによって喜ばしくありがたい(1)状態 、(2)事物、(3)内容である。
‘うれしい 形容詞’ 森田 良行著『気持ちをあらわす「基礎日本語辞典』』より抜粋 太字はブログ筆者の加筆です。
この3つの分類を基に英語での「うれしい」表現を見ていきます。
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(1) うれしさを起こす原因= glad ・happy
『気持ちをあらわす「基礎日本語辞典」』うれしさを起こす原因に書かれた例文を英訳すると以下のようになります。
「父の病気が治ってうれしい」=I’m glad that my father got better.
「遠足の日がいいお天気でうれしい」= I’m happy to see the clear sky.
過去に起こった悪いことが解決する「うれしさ」 =glad
うれしさを起こす原因で、gladを使うのは、過去に起こった出来事に対してです。
過去に起こった出来事の中で、特に、悪い出来事が解決した時のうれしさは、gladで表現します。
「父の病気が治ってうれしい」=I’m glad that my father got better.
上の文では、父の病気という悪い出来事が解決したので、gladを使っています。
続いて以下の会話例を読んでみましょう。
【会話例】
A:A car hit my car, but I’m fine.
B : I’m glad to hear that.
Aが 「A car hit my car」(=車が私の車にあたった。)」と悪い出来事を話しています。
その後、「but I’m fine」(=でも大丈夫だった。)と言っています。
Bは、Aの言葉を聞いて「I’m glad to hear that.」(=それを聞いてうれしい。)と言っています。
このgladは、「父の病気が治ってうれしい」と少し状況が異なります。
過去の悪い出来事(=Aの車が当てられた)は同じです。
しかし、Aの車が当てられてその後、悪いことが全て終わったとは言いきれません。
もしかしたら、Aは無事ですが、車は無事ではなく、車を修理に出さないといけないかもしれません。
または、Aにも過失があり、警察署へ行って手続きしないといけないかもしれません。
後日いろいろとやることがあるかもしれませんが、とりあえずAさん自身は無傷で無事だった。
悪い出来事が起こった。
その悪い出来事は、思ったより悪い事態になっていないという安堵感を、英語ではgladで表現します。

こういう時、日本語では、
「事故が思ったより悪い事態にならなくて、よかった。」
って言いますよね。



そうですね。同じ状況でも、日本語と英語で使う形容詞が違うんですよ。
【まとめ】gladを使う場面
gladは、以下2つの状況で使えます。
状況①
① 悪い出来事が起こる。(父が病気になる)
② 悪い出来事が解決する。(父の病気がなおる)
③ うれしい気持ちになる。
状況②
① 悪い出来事が起こる。( 車が私の車にあたった。)
② 悪い出来事は、思ったより悪い事態になっていない。(でも大丈夫。)
③ うれしい気持ちになる。
今起こっていることに対する「うれしい」= happy
遠足の日がお天気というのは、遠足の日にわかることです。
happyを使う時は、今起こっていることに対しての「うれしさ」を表現します。
「遠足の日がいいお天気でうれしい」= I’m happy to see the clear sky.
⚠️遠足の日が、悪天候と予想されていた場合=glad
天気予報では「遠足の日は、大雨になる」だったけど、当日の朝を迎えると、雨は降っていないかった。
元々悪いことが起こると心配されてたけど、そこまで悪くならなかったという場合は、gladを使います。
「遠足の日がいいお天気でうれしい」= I’m glad that the weather turned out to be O.K.



出来事が起こる前に心配が多いと、gladを使んだ。
(2) うれしさを起こさせる主体 = Thank you.
「あなたのご親切が身にしみてうれしい」「心のこもった贈り物、うれしく頂戴いたします」は、英語では、Thank youを使います。
glad・happyは使いません。
「あなたのご親切が身にしみてうれしい」= Thank you for your kindness to me.
「心のこもった贈り物、うれしく頂戴いたします」= Thank you for your gift.
(3) うれしく思う対象= glad ・happy
「うれしい便り」「うれしい知らせ」は、便りや知らせの内容でgladかhappyどちらを使うかが変わります。
未来に対するワクワク感に対する「うれしい」= happy
「うれしい便り」とは、具体的にどんな便りでしょうか。
- 試験に受かった。
- 就職が決まった。
- 結婚した。
- 子供が生まれた。
上の出来事は、今はもちろんうれしいですが、未来を期待するワクワク感のうれしさも含まれています。
例えば、子供が生まれたことはうれしいですが、これからその子供が成長していくことを期待しているうれしさもあります。
今だけでなく、未来を期待するワクワク感のうれしさは、happyで表せます。
私は、試験に受かって、うれしい。= I’m happy to pass the exam.
私は、就職が決まって、うれしい。= I’m happy to get a job.
私は、結婚して、うれしい。= I’m happy to get married.
私は、子供が生まれて、うれしい。= I’m happy to have a baby.
不安だったけど、上手く行った「うれしさ」=glad
同じ状況でも、上手く行くか不安や心配が事前にあった場合は、gladを使います。
- 試験に受かった。
- 就職が決まった。
- 結婚した。
- 子供が生まれた。
(受かるか不安だったけど)私は、試験に受かって、うれしい。= I‘m glad to pass the exam.
(受かるか不安だったけど)私は、就職が決まって、うれしい。= I’m glad to get a job.
(結婚できるか不安だったけど) 私は、結婚して、うれしい。= I’m glad to get married.
(無事に子供が生まれるか不安だったけど)私は、子供が生まれて、うれしい。= I’m glad to have a baby.
ビジネス・スピーチで使う「うれしい」=pleased
glad, happyは、日常的に家族や友人と話す時に使う言葉です。
対して、pleasedは、仕事で使う言葉です。
特に、取引先・お客様・上司に対して使います。
私は、あなたに会えてうれしく思います。= (I’m) pleased to meet you
私は、この機会があることを、うれしく思います。= I’m pleased to have this opportunity.
私は、あなたと働けることを、うれしく思います。= I’m pleased to work with you.
まとめ
うれしいを表す 形容詞 glad・happyの使い分けと、ビジネスで使うpleasedについてご紹介しました。
まとめてみると以下のようになります。
glad | happy | pleased | |
いつ使う | 日常会話 | 日常会話 | ビジネス |
どんな場面で使う | ・過去に起こった悪いことが解決する「うれしさ」 ・悪い出来事は、思ったより悪い事態になっていない。 ・不安だったけど、上手く行った「うれしさ」 | ・今起こっている に対する「うれしい」 ・未来に対するワクワク感に対する「うれしい」 | ビジネス全般 |
「うれしい」という意味の単語を選ぶ時に、以下の2点を考えましょう。
① いつ起こった出来事に対して、うれしいと思っているのか。
② その出来事が起こる前に不安があったか。
この記事があなたの英語学習の一助となれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。