和英辞典「怒る」を引くと、angryやmadなどの形容詞が出てきます。angryやmadという単語がわかっても、何が違うのだろうと悩む方もいらっしゃると思います。この記事では、「怒る」の英訳 angry, upset, madという3つの形容詞についてその違いをご紹介します。参考になさってくださいね。
angryは、日常会話で、あまり使わない?
「angry」は、英語を学び始めて、最初に学ぶ感情の単語の1つです。
最初に学ぶ基礎の単語にもかかわらず、カナダで日常生活をしていると、この単語をあまり聞きません。
angryに変わる単語としてよく聞くのが、upset, madです。
upset
upsetの意味は、angryの他に、worried(=心配する)や unhappy (=不満な)気持ちが含まれます。
upset (形容詞)
‘upset’ “Cambridge Dictionary”より引用
worried, unhappy or angry.
ただ「怒る」のではなく、その「怒り」の元は、心配や不満が含まれています。
例文① His mother was upset to see him coming home late.
「母親が、息子の帰宅が遅いので、怒ってしまう。」という場面では、upsetがよく使われます。
母親は、息子の帰宅をただ怒るだけでなく、息子を心配する気持ちが含まれるからです。
例文② Don’t be upset about the cookie. I can buy one for you.
「残り1枚のクッキーを食べられた」という怒りにも、upsetがよく使われます。
ただ怒るだけでなく、クッキーを食べられた不満が含まれるからです。
upsetは、怒りの中に、心配や不満を含む時に使える形容詞です。
mad
madは、古くは精神病(mental illness) の人を指す形容詞でした。
mad
a word to describe a person who has a mental illness, which was used by doctors in the past but is now offensive
‘mad’ “Oxford Dictionary”より引用
精神病には、自分の意思でコントロールできない行動や発言が症状として表れます。それから派生して、コントロールできないような怒りを指す意味が生まれました。
mad
‘mad’ “Oxford Dictionary”より引用
very angry or annoyed
madは、ティーンエージャーがよく使う。
madをよく使っているなと感じるのは、ティーンエージャー(中学生から高校生くらい)です。
ティーンエージャーがmadを使うのは、理にかなっていると言えます。
人間の脳は20歳くらいまで発達し続けると言われています。 高校生の頃、脳の中では自我が目覚める時期です。自我が目覚めると、現状に反抗する=反抗期がやってきます。
自分の中学・高校時代を振り返ってみて、自分でもコントロールできないような怒りが体の中にありませんでしたか?
中高校生の怒りは成長と共にある。怒りを自分でもコントロールできないと、直感的にわかっているから彼らはmadを使うのかもしれません。
例文① I’m so mad!
ティーンエージャーの怒りが爆発している時は、この表現よく聞きます。
例文② Are you still mad ?
怒っている(キレている)ティーンエージャーに対して、「まだ怒っている?」と尋ねる時に使います。
尋ねているのは、友だちもしくは、ティーンエージャーの親や兄弟が考えられます。
ティーンエージャー以外がmadを使う時。
ティーンエージャー以外にも自分の怒りを、madで表すことができます。
下の例文では、Kerryが、Richardに怒っています。
理由は、the washing up (=食器洗い)をしていないから。(=not doing)。
Kerry got really mad with Richard for not doing the washing up.
‘mad’ “Oxford Dictionary”より引用
毎日顔を合わせる人に、いつもお願いしているのにやってくれない。日々の怒りをため込んでいませんか。
ため込んだ怒りをぶちまけるように怒る時は、コントロールできないような怒りになることがあります。
ティーンエージャーでなくとも、コントロールできないような怒りがある時は、madが使えます。
angry
angryには、強い感情(=strong feeling)が含まれます。
強い感情は、誰かの態度や行動に対して(against someone who has behaved badly)。
angry
‘angry’ “Cambridge Dictionary”より引用
having a strong feeling against someone who has behaved badly, making you want to shout at them or hurt them:
さらに、angryには、悪いと思っている人に叫びたい(to shout at them)、痛めつけてやりたい(hurt them)という意味が含まれます。
angry について、ネイティブスピーカーが持つ印象。
私の夫(カナダ人 母語:英語)にangryについて尋ねてみると、以下のコメントが返ってきました。

「extreme」(究極)(極端)な言葉。
実際の生活で、そんな極端に怒ることあるかなと思ってしまう。
だから、angryという言葉を使うことに躊躇する。
angryを使うのは、幼稚園児~小学校低学年くらい。
3歳~5歳くらいの子供を観察していると、「I’m angry」と言って怒りを表していることがよくあります。
angryは、最初に学ぶ基礎の単語のひとつです。
子供がangryを使うのは、言語習得中で、言葉のレパートリーが少ないからでしょう。
子供が感じているのは、upsetやmadなのかもしれないですが、それらの言葉はまだ選択肢にないのかもしれません。(周りの大人がupsetやmadを使っていて、それを真似することがあるかもしれません。)
子供は、怒りが出てきたら、「I’m angry」と言って表します。
まとめ
angry, upset, madの意味や使用頻度をまとめてみました。
angry | upset | mad | |
意味 | ・強い感情 ・誰かの態度や行動に対しての不満な 感情 ・不満な相手に向かって、 叫んだり・痛めつけたりしたい | ・怒りの中に「心配」や 「不満」な気持ちが含まれる | ・自分ではコントロール できないような怒り |
使用頻度 | ・あまり使わない | ・よく使う | ・ティーンエージャーが よく使う |
意味を基準に自分の「怒り」がどんなものか考えましょう。
自分の「怒り」に合った表現を使いましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
皆さんの英語学習が実りあるものになりますように。