日本語の「相談する」は、悩みを聞いてほしい・アドバイスがほしい時に使う言葉であり、日常生活の悩みから職場でのやりとりまで、頻繁に使われる便利な言葉です。英語にもこんな便利な言葉があるのでしょうか。
気になって和英辞典を引いてみると 、≪話し合う≫talk (to[with], ≪専門家に≫consult, ≪対等な人に≫consult withと出てきます。どうやら「相談する」に匹敵する英単語はないようです。
内容・目的や相談相手によって、用いる英単語が変わります。
この記事では、和英辞典に出てくる「相談する」の英単語の解説と、私が海外で働いた時に、聞いた・使った「相談する」という意味を含む表現を紹介します。参考にしてみてくださいね。
consult :専門家に相談する
和英辞典で「相談する」を調べると、まず、consultという単語が出てきます。
consultは、コンサルタントの語源で、動詞です。(コンサルタントは名詞です。)コンサルタントは、ある分野について相談相手になる専門家を指します。企業の経営・管理などの専門家がよく知られています。consultは、コンサルタント=専門家に相談するという意味です。
consult
(consult ” Cambridge Dictionary”より抜粋)
to get information or advice from a person, book, etc. with special knowledge on a particular subject
Cambridge Dictionaryの定義では、special knowledge(特別な知識)やparticular subject(特定の分野)のinformation(情報)やadvice (アドバイス)を得ることとあります。
専門家とは、誰か?
consultを用いて「相談する」と英語で言う時、相談相手は、専門家です。どんな専門家なのか。主要な辞書に掲載されている例文を見てみましょう。赤字の部分が専門家です。
- If the symptoms get worse, consult your doctor.
( consult ” Cambridge Dictionary”より抜粋) - Have you consulted your lawyer about this?
( consult “Oxford Learner’s Dictionary”より抜粋) - I need to consult my teacher about changing my course.
( consult “Oxford Learner’s Dictionary”より抜粋) - If you are in any doubt, consult a financial adviser.
( consult “Collins Dictionary“より抜粋)
doctor =医者、lawyer=弁護士、teacher=教師、a financial adviser =金融・財務アドバイザーが、consultを使う専門家です。
医者・弁護士・教師に共通点は、国家資格です。金融・財務アドバイザーは、ファイナンシャルプランナーと考えると国家資格です。つまり、consultを使って相談する相手は、国家資格を持つ専門家だと言えます。
consultを使う場合、相談する相手は国家資格を持つ専門家に限られる。
≪対等な人に≫ consult with
consultには、もう一つ ≪対等な人に≫consult withという意味もあります。Cambridge Dictionaryには、以下の意味で紹介されています。
consult
(consult ” Cambridge Dictionary”より抜粋)
to discuss something with someone before you make a decision
決断する前に(=before you make a decision) 誰かと(with someone)話し合う(discuss)。この定義には、専門家をイメージさせる 特別な知識や特定の分野という意味は含まれません。
・This afternoon the president was consulting with his advisers.
(consult ” Cambridge Dictionary”より抜粋)
・If the pain persists, consult a doctor.
しかしながら、辞書に例文を読むと、(大統領の)アドバイザー、医者とあります。consult withを使っても、相談相手は、専門家ということが基本なのでしょう。
consult withでも、相談相手は、専門家が基本。
≪話し合う≫ talk (to[with])
和英辞典で「相談する」を調べると、talk (to[with])も出てきます。
Cambridge Dictionaryの定義では、talk とは to speak to someone (誰かに話す)こととあります。
talk
to say words aloud; to speak to someone
talk ‘Cambridge Dictionary”より抜粋
誰と話し合うか?
talkの意味は、 to speak to someone (誰かに話す)でした。では、どんな人と話すのでしょうか。主要な辞書に掲載されている例文を見てみましょう。赤字の部分が話している相手です。
- She talks to her mother on the phone every week.
(talk ‘Cambridge Dictionary”より抜粋) - I’ll talk to John this afternoon.
(talk “Oxford Learner’s Dictionary” より抜粋) - I must talk to My father about it.
( 相談する “ウィスダム和英辞典 第3版”より抜粋)
consultに比べると、talkでは、親や友だち、知り合いが話し相手になっています。身近な人と話し合うという時は、talkを使います。
talk to? talk with?の違い
talkの後につづく前置詞は、toとwithがあります。
talk to: 相手に向かって話す
toには、ある方向に向かって(=in the direction of )という意味があります。
to 【preposition】
in the direction of:
to “Cambridge Dictionary”より抜粋
talk to+人で、toの後に来る人に向かって主語が話します。主語→後に来る人へ一定方向に話すニュアンスを含みます。
talk with: 一緒に話す
withには、一緒に何かをする(=doing something together)という意味があります。talk to と比べると talk withの方が主語もwithの後に来る人もどちらも話している印象になります。
with 【preposition】
with “Cambridge Dictionary”より抜粋
used to say that people or things are in a place together or are doing something together:
話したい内容がある時は、aboutを使う
相談したい内容が決まっている場合は、前置詞about + 内容で表現できます。aboutには、あるトピック・分野(=subject)という意味があります。
about 【preposition】
about “Cambridge Dictionary”より抜粋
on the subject of, or connected with:
例えば、職場で同僚にプロジェクトについて話しあいたい時は、

I need to talk to you about the project.
と言います。
上司や頼みづらい人なら、相手におうかがいを立てる疑問文を使います。have time (=時間ありますか)から始めて、to talk about the project (=プロジェクトについて話すために)と具体的な内容に入ります。



Do you have time to take about the project?


その他の表現
和英辞典に掲載されている「相談する」の他に、私が海外で働いて聞いた・使った「相談する」という意味を含む表現を紹介します。
(相手に)判断を求める=tell
自分では判断できないので、誰かに相談したい時があります。「判断を求める」を簡単な言葉に言い換えると、「正しいかどうか教えてほしい」になり、 「教える」=tell を使うことができます。
tell
tell “Cambridge Dictionary”より抜粋
to say something to someone, often giving them information or instructions
tellは、情報(=information)だけでなく、指示(=instruction)を教える時にも使えます。
正しいかどうかを知りたい時は、以下のように質問します。
Can you tell me if this is correct? (=正しいかどうか 私に教えてもらえませんか。)
意見やアイデアを聞きたい時は、以下のように尋ねます。
Can you tell me your idea ?(=あなたのアイデアを 私に教えてもらえませんか。)
Can you tell me your opinion?(=あなたの意見を 私に教えてもらえませんか。)
悩みを聞いてほしい=listen
悩みを「相談する」時、ただ「聞いてほしい」と思うこともあります。この場合は、「聞く」=listenが使えます。
listen
listen “Cambridge Dictionary”より抜粋
to give attention to someone or something in order to hear him, her, or it:
listen は、hearと違って、注意して(to give attention)聞くという意味があります。じっくり聞いてほしい、何も言わずにただ聞いて!という時に便利な表現です。
listenを使った文を3つ紹介します。
Could you listen to me? ( =私のことを聞いてもらえませんか。)
Could you make time to listen to me? (=私のことを聞くために、時間を作ってもらえませんか。)
I’d be happy if you just listen to me. (=もしあなたがただ私のことを聞いてくれたら、私は幸せです。)
フィードバックが欲しい=give me feedback
相談して、フィードバックが欲しい思っている時は、迷わず「フィードバックが欲しい」と言いましょう。英語でのコミュニケーションは、何を求めているかを最初に伝えると、上手く行きます。
フィードバックは、feedbackという単語がありますが、名詞です。相手が「フィードバックをあげる」の「あげる」という動詞が必要です。giveを使います。


ストレートにフィードバックが欲しい時は、この表現を使いましょう。
Give me feedback, please. (=フィードバックを私にください、お願いします。)
相手にお伺いを立てたい場合は、疑問文にします。
フィードバックによっては、落ち込んでしまうという人は、肯定的なフィードバックと限定してフィードバックをもらいましょう。
Could you give me positive feedback? (=肯定的なフィードバックを私にいただけませんか。)
アドバイスが欲しい=give me some advice
feedbackに似ている表現で、adviceがあります。adviceも名詞です。動詞は、giveを使います。
aboutを使ってどんな分野でアドバイスが欲しいかも伝えられます。
Could you give me some advice about next presentation?
(=次のプレゼンについてアドバイスをもらえませんか。)
日本語では、相手の意見を気軽に聞くためにアドバイスという言葉を使います。ところが、私の経験では、職場であまりadviceを使った場面に出会ったことがありません。
advice
advice “Cambridge Dictionary”より抜粋
an opinion that someone offers you about what you should do or how you should act in a particular situation:
adviceの定義には、should=すべきだという意味が含まれています。このことから、adviceを使う時、「すべきだ!」とプレッシャーがアドバイスをもらった方にかかるのでは?と、私は考えています。
feedback
feedback “Cambridge Dictionary” より抜粋
information or statements of opinion about something, such as a new product, that can tell you if it is successful or liked:
一方、feedbackは、should, must, have toなどの「~しなければならない」という表現がありません。ということは、feedbackをもらう側には、adviceのようなプレッシャーがないと考えられます。



職場で他の社員と気持ちよく働くためには、adviceよりもfeedbackなのかなと言葉の意味、そして実体験から感じました。
まとめ
日本語の「相談」は、いろいろな場面で使える便利な言葉です。残念ながら「相談」と同じように広義の意味を持つ言葉は、英語にはありません。
「相談する」を英語に訳す際は、
1. 誰に相談しているかで、動詞を選ぶ。(consult, talk to /with )
2. 相談することで何を求めているかで、動詞を選ぶ。(listen, tell, give me feedback)
日ごろから日本語で、 「相談する」という言葉を使う度に考えてみましょう。何度も考えていく内に、自分はこういう意味で「相談する」を使うことが多いとわかり、別の言葉へ言い換えるきっかけが見つかります。
言葉は、自分の意見や気持ちが必ず含まれます。 辞書で書かれた訳語だけをランダムに選ぶのではなく、自分が考える意味や気持ちを表現してくれる言葉を選んでいきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
あなたの英語学習が実りあるものになりますように。