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なぜ否定文を使うの?看板で学ぶ英語

“Do not touch.” “Don’t worry.” など、Don’tで始まる否定文をよく見ることがあると思います。でもなぜそもそも否否定文なのだろう?”Leave.”とか”Be happy”のような肯定文じゃだめなの?と考えたことありますか。この記事では、カナダのお店で見たDon’t go far.という看板表記を例に、否定文を使おうと思ったの背景をご紹介します。これを読めば、否定文の奥深さがわかります。

この記事を書いている人

言語・コミュニケーションコーチ
Leco(れいこ)

  • 教師10年目のオンライン英語講師。
  • 海外(2カ国)・日本・オンラインで教えた経験有。
  • 中高英語科教員免許・日本語教師養成課程修了の資格保持。
  • 英語・日本語どちらの視点からも文法解説可能。

先日、Canadian Tireの店内で、こんな看板を見つけました。

Need help? Press the button and don’t go far.

この文の後半部分「don’t go far.」は、否定文です。
肯定文で「Stay」ではなく、どうして否定文を使っているのかについて考えてみましょう。

目次

Canadian Tireに、この看板があるのはどうして?

Canadian Tireとは、元は機具や工具を取り扱っていたお店です。
今では生活用品から機具工具まで売っていて、
まるで日本のコーナンのようなお店です。
カナダの主要都市でよく見かけるお店の一つです。

Canadian Tireの店内は、こんな感じ。

このお店、ほんとにいろんなものを取り揃えています。
便利な反面、店内も広く、どこに何があるのか探すのも一苦労することも。


そこで定員さんに尋ねたい時に役に立つのがこの「Need help?」のボタン。
Press the buttonと書かれている通り、真ん中の丸いボタンを押せば店員さんが来てくれます。

ところが、ボタンを押しても店員さんがなかなか来てくれない時も…。
「ほんとに来てくれるのかな?」と、だんだん不安に。
「隣の通路にいるのでは?」と探したり。
しまいには、「自分から店員さんを探したらいいんちゃう?」とその場を離れてしまう。
そして、店員さんがボタンを押した通路に来た頃には、押した本人がいないということも…。

これが1回だけならいいけれど、
どの店舗でもある一定数お客と店員が出会えないことが起こる。
そうすると、お客も店員も困る。
じゃあ、呼び出しボタンを作ろうということになる。

看板で否定文を使うのは、どうして?

お客と店員が出会える場所を作ろうと作った店員呼び出しボタン。
ボタンと併せて、作った看板には、「Don’t go far.」と書きました。

”Don’t go far.”は、Don’tという否定の言葉を使っているので、否定文になります。
否定文を使う時、私たちは無意識にこんなことを考えています。

「前にあった状況を否定したい。」

Canadian Tireのケースで例えてみると…

Canadian Tireでは、客の質問に答えるために、店員を呼べるボタンを設置した。
ところが、ボタンを押してはどこかに行ってしまう(=press the button and go far)お客が出てきた、
という現実があった。

ボタンを押してはどこかに行ってしまう(=press the button and go far)お客に、 店員は困っている。
ボタンを押してどこかに行ってしまうお客を止めたい!
止める方法は? 「あ、お客の行動を否定すればいいんだ。」ということで、
できたのが、 「Press the button and don’t go far!」の文。

否定文が生まれる前には、思わず否定したくなる反対の状況状態があります。
反対の状態を止めたい、止めさせたいという思いが、否定文を作ります。

Canadian Tireだけではなく、 美術館の、”Do not touch.プールで”Do not dive.”


これらも否定文を作る前に、思わず否定したくなる反対の状況があったということが感じ取れます。

否定文には、「前にあったことを否定したかったのね~」という思いが込められています。
だから、Canadian Tireの看板は、stayではなく、”Don’t go far.”になるというわけです。

あなたの街の中で英語で書かれた看板には、否定文のものがありますか。
否定文が使われる時、 「前にあったどんなことを否定したかったのかな?」と考えてみましょう。

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